4 だめだ、消える

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 部屋のドアの前まで来ると、中へと入ろうとしたゆずるに、和久が念を押す。  そういえば、と直久は思った。  自分は和久と同室なので心配ないが、ゆずるは今夜一人だ。悪霊に狙われやすいのはゆずるの方なのだから、ゆずるも自分たちの部屋で休めばいいのに、と思わないでもないが、そうもいかないらしい。  とはいえ、三人で一晩明かすだなんて、直久には息が詰まるに違いない。ごめん被る。  だが、状況が状況なだけに背に腹は変えられない、とも思う。譲歩してやらなくもない。  一人、直久は腕を組み、うんうん、と頷いていた。が、話は直久だけを取り残し、すでにゆずるとは別室で休む方へ進んでいる。 「ゆずる。なにかあったらすぐに呼ぶんだよ」 「言われなくても、わかってる」  その返事はいつものように冷ややかなもので、さっさと部屋の中に入り、ガチャっと、ご丁寧に鍵までかけた音がした。 (なんだよ、ゆずるのヤツ! せっかく心配してやってるというのに、ほっっっっんと、カンジ悪っ!)
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