4 だめだ、消える

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(本家も何を考えてるんだか)  和久ほど、本家に出入りしていない直久には、詳しいことはわからない。霊力を持たない直久は、本家から存在そのものを認められていないかのような扱いを常に受けている。だから、もともと本家には良いイメージは持っていない。 (ゆずるも、色々大変なのかもな……)  こんな霊力の無い時に、こんなところに送り込まれるなんて。どう考えても“大事”にされている嫡子という扱いではない。  それにしても寝られない。  まったく眠気の『け』の字も感じないので、直久は、とりあえずトイレにでも行くかと、立ち上がった。  その時──。 (!?)   小さい悲鳴のようなものを聞いた。隣の部屋、ゆずるの使っている部屋からだ。
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