4 だめだ、消える

10/23
前へ
/280ページ
次へ
 瞬間的に和久を振り返ると、弟はいまだ静かに寝息を立てている。  仕方なく、直久は弟の肩を揺すった。 「おい、カズ。起きろ」  だが、その眠りは深く、目を覚ます気がしない。焦った直久は、今度は本気で体を揺すった。 「カズ!! 起きろ!! ゆずるに何かあったかもしれないっ」  それでも、和久はまったく起きない。  これは尋常ではない。  ──悪霊が夜中に何かをやらかす時、その邪魔になるようなヒトは、たいてい金縛りにあったり、眠らされることが多いんだ。だから、いくら頑張っても体が動かなかったり、起きなかったりする時は、悪霊の仕業であることが多いよ。  なぜか、昔、和久がそんなことを言っていたのを、ふと思い出した。  この不自然な眠りは、悪霊の仕業なのか? だとすると、ゆずるは……。
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6347人が本棚に入れています
本棚に追加