6347人が本棚に入れています
本棚に追加
瞬間的に和久を振り返ると、弟はいまだ静かに寝息を立てている。
仕方なく、直久は弟の肩を揺すった。
「おい、カズ。起きろ」
だが、その眠りは深く、目を覚ます気がしない。焦った直久は、今度は本気で体を揺すった。
「カズ!! 起きろ!! ゆずるに何かあったかもしれないっ」
それでも、和久はまったく起きない。
これは尋常ではない。
──悪霊が夜中に何かをやらかす時、その邪魔になるようなヒトは、たいてい金縛りにあったり、眠らされることが多いんだ。だから、いくら頑張っても体が動かなかったり、起きなかったりする時は、悪霊の仕業であることが多いよ。
なぜか、昔、和久がそんなことを言っていたのを、ふと思い出した。
この不自然な眠りは、悪霊の仕業なのか? だとすると、ゆずるは……。
最初のコメントを投稿しよう!