4 だめだ、消える

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 どうしたらいい? 何かいい手はないか。  自分にできることはないかっ!? (カズは起きねぇし、かといって依頼人を危険に晒すわけにもいかないから助けも呼べねえっ……ん、そうだ!)  直久は一か八かの行動に出ることにした。体当たりで、ドアをぶち破る作戦だ。やったことはないが、よくテレビドラマで見る、アレだ。  意を決し、ドアから4歩下がると、渾身の力をこめてドアに激突する。 「ぐっ……」  あまりの衝撃に直久は息がつまり、咳き込む。ドアはびくともせず、簡単に床の上に弾き飛ばされてしまっていた。 「ちきしょう! ドラマは所詮ドラマかっ!!」  そう叫びながら、再び助走をつけ、ドアへと突進する。が、その時、不思議なことが起きた。直久の体がドアに触れる直前、ひとりでにドアが開いたではないか。 (──え!?)  標的を目前で見失うも、ついてしまった勢いを殺すことはできず、慣性の法則と重力に従い、直久はそのまま、ゆずるの部屋に突進した。そうして、ドタンッ、と派手な音をたてて床に倒れこんでしまう。全身に激痛が走った。
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