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「また、目がたくさん……見えるんだ」
消え入りそうな声でゆずるが訴える。
「俺を探してる……たくさんの目が俺を捜してるんだ」
「……え」
直久は、あたりを見回した。
だが、見渡す限りの闇の中に、目だけが浮かんでみえるなんてことがあるわけがない。
でも、ゆずるには見えているのだ。
「もう限界なんだ……」
ゆずるはそう言うと、直久の腕にしがみついてきた。
「限界って……?」
「今は結界を張っているから、奴らには俺の姿が見えない。でも、……結界はもう直ぐ消える。奴らの力がどんどん強くなっていくのが、手に取るようにわかるんだ」
「奴らって――」
生け贄になった女の子たちのこと? と言葉を続けようと思ったが、できなかった。ゆずるが、びくりと大きく体を震わせたからだ。
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