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「信じてくれんの?」
「だって、聞いたんでしょう? それも何回も」
何でそんなことを聞くの、と言いたげに首をかしげる和久。だから、直久も胸を張って言うことができる気がした。
「うん、聞いた」
直久は深くうなずいた。そっと胸の中が熱くなるのを感じながら。
「じゃあ、確かに、僕ら以外の“誰か”があの時、あの部屋に居たんだと思う」
「……そうか……」
和久が利き手で髪を掻き上げ、浮かない顔の直久をのぞきこむ。やがて、ふっと笑顔を淡く浮かべた。
「でも、不思議だね。何で急に直ちゃんにも霊が見えたり、感じたり、聞こえたりするようになったんだろうね」
急にニヤニヤと含みのあるアヤシイ笑みを浮かべて意味深なことを言うので、直久は何も身に覚えが無いのに、ぎくりなった。
「な、なんだよ」
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