5 うぜぇ……

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「僕はいつかは、直ちゃんも力が目覚めるとは思ってたけど、何がきっかけだったんだろうなぁと思って」 「さあ?」  直久は、何が言いたいのかさっぱり理解できず、苛立ちをこめた短い返事をした。それを見て、和久が一瞬驚いた表情を見せる。  鈍すぎ……、と弟がつぶやいたような気がしたが、気のせいだと思うことにした。 (それにしても……)  直久は再び眉をひそめた。知らず知らず、和久の言葉が何度も反芻していた。  ──僕はいつかは、直ちゃんも力が目覚めるとは思ってたけど。  不思議な力を持つ一族。現存する九堂家とその血族は、直久以外全ての人が何らかの能力を持っている。  できるだけ、外部からの婚姻を避け、血族間で子孫を残し、何百年もの間その血が薄まらないようにとしてきた。  部外者を忌み嫌い、まるで、己たちだけが別人種であり、己たちの国があるかのように外界からの干渉を拒絶する。  そんな孤高の一族──九堂一族。  直久にとっては、出来うる限り触れずにいたいアキレス腱であり、いくら切っても切り離すことはかなわない、もはや呪いのような存在だ。  そうだ、自分たちは呪われているんだ。このよく分からない能力も、きっと何かの呪いか祟りか、罰なのだ。そう思わなきゃ、やってけない。  そうやって自分はこの十六年間を生きてきた
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