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けれど、結局自分もこの呪われた血から、逃げることはできないのかもしれない。
「なあ……」
直久は、前方を見ながら、ぽつりと言った。
「ウチってさ……」
口ごもって、言葉が続かず、ついには閉口してしまう。
だが、直久のそんな様子から、和久は敏感に感じ取る。双子の兄が何を言いたいのかを表情を読むことなんて、紙に書かれた活字を読むのに等しい。
「もしかして、九堂一族(ウチ)のこと聞きたいの? どうして、うちの一族は妙な力を持っているのか……とか?」
直久は内心舌を巻きつつ、観念して頷いた。その兄の様子に、さも嬉しそうに和久がおどけて見せた。「その言葉を待っていたんだよ、ずっと!!」と付け加えながら。
「でも何で急に?」
「だってさあ。聞いちゃったんだぜ、俺。霊の声ってやつをさ。霊なんていないんだって主張していたわけじゃないけど……。でも、ほんと言うと、半信半疑だったって言うか」
実際、何度も目のあたりにしてきた。弟やいとこ、親族たちが人とは思えない不思議な力を使う姿も、両親が誰もいないはずの空間に向かって話しかけている姿も。
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