5 うぜぇ……

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 最後に弟は、要するに一族の人間離れした力は、自分たちの血にその雌狼の血が混じっていることが原因だ、と言った。 「狼だけならいいんだけどね」 「え?」 「婚姻を重ねることで、血が薄まり、力を失うことを畏れた僕らの祖先は、薄くなる度に妖怪と交じったらしい」  そして、さらりと和久は言ってのけた。 「たとえば、お祖母様のお父様がイタチの妖怪なんだ」 「い、イタチ……ご冗談をっ」 「でも、曾お祖母様は未婚でお祖母様を生まれたんだ。うちのようなお堅い御家で、未婚の母って普通じゃないと思わない? 勘当するくらいはしそうでしょう? なのに、その母娘は厚く礼遇され、娘が当主に嫁ぐんだ。おかしくない?」  確かに、和久の言ってることは筋が通ってる。  だけど、そうなると……。 「オレらイタチが混じってるわけ……?」 「うん。だから、ゆずるの髪は亜麻色なんだと思う。イタチの毛色が隔世遺伝したのかもね」 「イタチの遺伝子が俺らの中にぃ……っ!?」  衝撃に打ちのめされ、直久はその場に立ち尽くした。突然足を止めた直久の背中をよけるように、ゆずるが横へずれた。
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