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「急に止まるな」
「……だって、イタチ!! ……ま、まさか、だからオレは天才的に運動が得意なのか!?」
「いや、でも、僕にも混じってるんだけど。僕、体育2だよ」
直久は、今、まさに気がついたというように、弟の顔を見ると、深いため息をついてから、同情をこめて弟の肩に手を置いた。
「……オレが全部、吸い取っちまったんだな」
「そうかもね。でも、僕、赤点は一つもないし、体育もテストでカバーしてるし、それでいいよ」
「うっ」
二の句が告げないでいると、ゆずるも弟を援護射撃する。
「運動だけで、勉強が壊滅的ってどうよ」
「ぐはっ」
「だよね、跳び箱飛べなくても、大学は入れるよ」
「かはっ。……オレ、今、吐血したところね」
直久は体を折り曲げ、口に手を当てた。
「……うぜぇ……」
ゆずるは吐き捨てるように言うと、双子を追い抜き、先に行こうとした。その腕を、とっさに直久が鷲づかみする。
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