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ガッシャーン!
突如として部屋に響いた
なにかが割れるような音
そんな光景をボーッと見ている
少女がいた。
香川 癒姫(カガワ ユキ)
癒す姫と書いてユキ
癒姫は真っ暗な別室から
ただ見ているだけだった
癒姫の家庭は荒んでいた
父親の浮気に母親のヒステリックな叫び声
いつも癒姫は中立で
両親の意見を聞く立場…
一人っ子のため必然的にそうなる
癒姫は唇を噛みしめ
いまの光景を憎らしく睨んで
終わりをまっていた
父親の浮気がバレたらしく食器棚をひっくり返し泣きじゃくる母親の姿が見えた。
そんな争いの言葉なんて
癒姫の耳には聞こえてなかった
ノイズの混ざった壊れたラジオ
のように途切れ途切れでしかなった
癒姫は左手首を押さえながら
ジッと動かない
滴る赤い液体が癒姫の気持ちを落ち着かせた
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