カメラ中毒

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『すごい美味しいです!  これ作ったんですか?』 僕はケーキを頬張りながら 久しぶりに 笑えた気がした。 『ありがとう、学チャン。』 叔母はそう言うと 涙目になりながら 僕を抱き締めた。 一瞬、 何が起きたか 分からなかった。 だけど ゆっくりと 暖かさが伝わってきた。 叔母は何も言わず ただ抱き締めてくれた。 僕は嬉しかった。 久しぶりに感じた暖かさに 心から感謝した。 なのに… 僕は、 泣かなかった。 何故だか泣かなかった。 もしかしたらこの時 いずれ起こる事件を 予感していたのかもしれない。 だから涙は 見せなかったのかもしれない。  
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