3人が本棚に入れています
本棚に追加
中学二年、七月。
もうすぐ、父の居ない夏休み。
キリーツ
キョウツケー
レイッ
『さようならー』
ガタガタッ
僕は相変わらず
友達が居なかった。
周りのクラスメイトが
連れ立って帰る中、
僕は一人、席を立つ。
『まなぶチャン、ばいばい。』
ただ一人、
僕に手を振るのは優斗。
人懐っこい優斗の周りには
いつも友達で輪が出来る。
『ああ。』
僕は愛想無く言うと、
鞄を2つ手にした。
授業道具が入った鞄と、
一眼レフカメラ入りの鞄だ。
学校鞄を背中にしょい、
カメラ入りショルダー鞄を
肩から掛ける。
これが、父が居なくなってからの
僕の登下校スタイルだ。
最初のコメントを投稿しよう!