an artificial arm

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「……何だったんだ」 思わず背筋が寒くなる。 命を取られなかっただけマシかと安堵する。 そうしている内に、いつの間にか先程の見覚えのある車が俺の横に止まる。 それはやっぱり見覚えのある外車で、やっぱり見覚えのあるビシッとスーツを決めた銀髪の男性がその車に乗っていた。 「やあ、神谷。……どうした、何か顔色が悪いようだが?」 窓から身を乗り出し、俺に尋ねてくる。 「こっちが聞きたいです……最悪、臨死体験するかと思いましたから」 当然答えなど持ち合わせていないので、素直な感想を述べるしかなかった。 「何だ、それ?……まあ、何も起こってないのならまあいいが」 興味ない、と煙草を吸いながら呟く銀髪の男性。 「桐生さん、職業上その発言はどうかと。……ところで、わざわざどうしたんですか?」 「ああ、そうだった。……単刀直入に言うと、君達に依頼をしに来た」 「本当ですか!?」 そう、このお方こそ、先程話に出てきたありがたいお方、桐生清十郎(キリュウ セイジュウロウ)さんであった。
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