14人が本棚に入れています
本棚に追加
「……何だったんだ」
思わず背筋が寒くなる。
命を取られなかっただけマシかと安堵する。
そうしている内に、いつの間にか先程の見覚えのある車が俺の横に止まる。
それはやっぱり見覚えのある外車で、やっぱり見覚えのあるビシッとスーツを決めた銀髪の男性がその車に乗っていた。
「やあ、神谷。……どうした、何か顔色が悪いようだが?」
窓から身を乗り出し、俺に尋ねてくる。
「こっちが聞きたいです……最悪、臨死体験するかと思いましたから」
当然答えなど持ち合わせていないので、素直な感想を述べるしかなかった。
「何だ、それ?……まあ、何も起こってないのならまあいいが」
興味ない、と煙草を吸いながら呟く銀髪の男性。
「桐生さん、職業上その発言はどうかと。……ところで、わざわざどうしたんですか?」
「ああ、そうだった。……単刀直入に言うと、君達に依頼をしに来た」
「本当ですか!?」
そう、このお方こそ、先程話に出てきたありがたいお方、桐生清十郎(キリュウ セイジュウロウ)さんであった。
最初のコメントを投稿しよう!