an artificial arm

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「此処だったよな?君の事務所」 「はい、そうです」 目的地に到着。 中央都市を繋ぐ大きな道路から分かれた細い道を通り、更に人通りの少ない裏通りを左に曲がる。 人を呼び寄せる場所としては、立地条件が最悪な場所に建てられたビルの二階に、俺の事務所が開かれたのが二ヶ月前の話。 道路を挟んだ向こう側のパーキングに駐車し、俺達二人は車から降りる。 「…………」 あれから会話は一切無く、事務所に着くまでのわずか数分が非常に長く感じられる。 俺は、正直言って内心ドキドキしていた。 事務所を開いてから、やっと求めていた情報が手に入るかもしれない。 この心臓の鼓動が何によるものなのかは、俺自身でもよく分からなかった。 「どうした?顔色が優れないようだが」 「あ……すいません、大丈夫です」 桐生刑事の言葉に思わずハッとなり、彼を先導する形で事務所へと向かう。 事務所への階段を昇り、扉へと手をかける。 そして、中に入ろうと扉を開けた次の瞬間―― 「やった!!雷電ゲットォ!!!!」 「…………」 後ろにいる桐生刑事と共に、思わず唖然。 俺の中で、張り詰めた緊張とか色々なものが、ガラガラと音を立てて崩れていく。 「あの……先輩。嬉しいのは分かりますが、所長が……」 「ほぇ、所長?……あ」 しまったと、これ以上ない位分かりやすいリアクションを取る馬鹿女。 お分かりの通り、馬鹿女こと望月結衣が、わざわざ俺専用の社長椅子に座って、相変わらずオンラインゲームに身を投じていたのだった……。
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