an artificial arm

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「大成功です!見事に引っかかりましたね、所長!!」 「ああ、ものの見事にな……。とりあえず、一旦座ろうか?」 額に青筋を浮かべ、声に相当の怒気を込めて、俺の頭に見事なたんこぶを作らせた人物を向かいのソファーに座らせる。 「だってだって、所長が悪いんでしょう!?私が一生懸命額に汗流して働いていたのに、所長は気が付いたら爆睡してるんですもん!!」 そりゃあ、悪戯もしたくなりますよ!と両足をバタバタさせて抗議する犯人。 黄色のワンピースに白の短パンという、無駄に高いブランドの割にシンプルな格好。 茶髪にショートカットのナリの女は、中学生かと思う程童顔、且つ、それに準じて精神年齢も低かった。 これで成人しているというのだから、軽く詐欺みたいなものである。 「だからってな……時計の針を一時間も遅らせた上に、こんな脅迫文を書くんじゃない!!」 先程机に置かれていたメモ用紙を奴の目の前に突き出す。 ご丁寧に、全部の文字を定規で線を引かれていた、メモならぬ脅迫文。 口にするのも悍ましい内容なので、ここでは割愛。 後は、想像にお任せしよう。 「寂しかったな、虚しかったな……何をしても起きないから、一人で夜道を歩いたんですよ!?所長、えらいえらいのボーナスを請求します!!」 「子供か!お前なら、不審者に襲われても余裕で返り討ち出来るだろうがぁ!!」 思わずこちらも、奴のテンションに負けじと大声を出す。 まだ朝九時ですよ、この会話。 「あの……そろそろ、入ってもよろしいでしょうか?」 不意に声が聞こえ、俺達は声のした方を振り返る。 「あ、おはよ~う」 「おはよう……すまん、朝からこんな状態で」 心からの誠意で謝罪する。 某庶民派ブランドのTシャツとジーンズを、これまたシンプルに着こなした黒髪の青年は苦笑混じりに、 「はは……大丈夫ですよ。僕もいい加減この状況には慣れましたから」 半ば、達観の境地に入った口調でそう言った。 いやはや、我ながら、何やってんだろうなぁ本当に? 「フンフフ~ン♪あ、冷蔵庫のコーラ、一本貰いますね所長」 諸悪の根源は、鼻歌混じりにコーラを手に取り、朝っぱらから一気飲みする始末であった。 それ、今月の給料から引いとくからな。 結局、朝食は冷蔵庫にあったおにぎりの余りで済ませた。
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