an artificial arm

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それと同時に、時臣君の向かい側に座っていた例の女は、 「あぁ、全滅した!?せっかくレア素材集めたのに……」 事務所のパソコンで、怪物を刈りまくる某オンラインゲームに現を抜かしていたのであった。 「おい仕事しろ、馬鹿女」 苛つく感情を抑え、注意する。 「じゃあ、仕事取ってこい駄目上司!!」 しかし、その程度では動じず、逆にカウンターを会心の一撃で決めてくる勢いで返してくる。 「くっ……」 本当に子供だな、この女は!! だが、言っている事は本当で、思わず返答に詰まる。 その様子を見て、勝ち誇った顔をした奴は、再び【怪物狩人】なるゲームに没頭し始めた。 彼女の名は、望月結衣(モチヅキ ユイ)という。 21歳の大学三年生。 精神も容姿も幼く、扱いに苦労するハイテンションガール。 備考としては、半端無く強い。 俺がかつて本気でキレた時、返り討ちにあった。 そりゃもう、コテンパンに。 どんな縁かは知らんが、奴とは高校からの知り合いであり、腐れ縁の様な関係である。 此処に働き(?)に来てるのも、大学でほとんどの単位を取って暇らしく、社会体験として俺の事務所に無許可で転がり込んで来たからである。 社会体験と言ったが、こんな場所でどうやって何を体験する気なのか。 その旨を彼女のご両親に伝えたところ、『娘をよろしくお願いします』と訳の分からん答えが返ってきた。 何をどうすればいいのか……。 そんな事せずとも娘さんは十分に独り立ち出来てますよー!!と叫びたい。
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