an artificial arm

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「結衣先輩駄目ですよ、そんな口を聞いては。一応……所長は上司なんですから」 「一応、は余計だよね時臣君?後、その間は何だ?」 「だって、本当に仕事無いじゃない。時臣君はいつも暇なのに何してるの?」 「だからって、暇=ゲームOK、の方程式は成り立たないだろ、結衣?」 「まあ、確かに暇ですが。仕事は自分で見つけるものですよ?僕は今、事務所のサイトの運営をしています」 パソコンの画面を見せる。 なるほど。俺の抗議は全てスルーする方向ですか。 「…………」 半ばふてくされつつ俺も、彼が作ったサイトのページに入る。 確かに、俺では到底作成不可能な立派な事務所説明のサイトが立っていた。 「……ん?」 ふと、画面に疑問を発見する。 「なあ、時臣君?」 「なんですか、所長?」 「ここの所長コメントの欄だが……書いた記憶が無いぞ?」 「あれ、私たち、マンション経営の相談なんか、受けたことあったっけ?」 虚偽の事象に、俺達は疑問符を浮かべ尋ねる。 優秀社員君は、軽く笑みを浮かべると、 「勿論、僕が勝手に作りました。会社説明としては、中々のものになったと自負していますが」 当然のように、詐称歴を告白するのだった。 「……なかなかやるね」 思わず唸る結衣。 「ええ。相談の件も、ちょっと調べれば僕が対応できると思うので大丈夫です」 自身満々に答える時臣君。 思わず、眼鏡の光る音が聞こえてくる程だった。 「…………」 複雑な感情が入り混じり、何も言い返せない。 微妙な空気のまま、再び自分の作業に戻る。 「あ、所長のプロフィール欄はわざと空けておきましたので、そこはよろしくお願いします」 更にご丁寧に仕事も与えてくれる、本当に優秀な時臣君。 「了解。これ終わったら、仕事取りに行って来ますかな」 半ばやけっぱちの口調で呟く。 ああ悲しきかな、で一句出来そうだ。 教えてもらったパスを入力し、サイトの管理ページに入る。 こうして俺は、今日初めての仕事に取りかかった。
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