an artificial arm

8/37
前へ
/37ページ
次へ
俺は、定期的に依頼を提供してくれる、ありがたいお方の所へ向かっていた。 「…………」 一向に止まない雨に、俺の心は段々と憂鬱になっていく。 雨は嫌いだ。こうして一人でいると、どうしてもあの時の事が思い出される。 『あ……うわあああああ!!!?』 『あ、止め……助けてくれえ!!!!』 『あああああぁぁ……』 「……くっ!!」 脳内に、嫌でもあの時の断末魔が響く。 「こうして事務所を開いたってのに、思うように事はいかないもんだ」 思わず空に向かって呟いた。 雨は一行に止む気配がない。 むしろ時間が経つにつれて、勢いは強まる一方だった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加