14人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は、定期的に依頼を提供してくれる、ありがたいお方の所へ向かっていた。
「…………」
一向に止まない雨に、俺の心は段々と憂鬱になっていく。
雨は嫌いだ。こうして一人でいると、どうしてもあの時の事が思い出される。
『あ……うわあああああ!!!?』
『あ、止め……助けてくれえ!!!!』
『あああああぁぁ……』
「……くっ!!」
脳内に、嫌でもあの時の断末魔が響く。
「こうして事務所を開いたってのに、思うように事はいかないもんだ」
思わず空に向かって呟いた。
雨は一行に止む気配がない。
むしろ時間が経つにつれて、勢いは強まる一方だった。
最初のコメントを投稿しよう!