和室。

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 突然視界を闇が覆い尽くした。  というより、闇の中に躍り出たというべきか。  私の体は不安定な重力感に包まれて、やがて落下する風切り音を耳に感じ取る。  ちらりと見えた薄明かりが、さっきまでいた和室から漏れる光なのだ、と朦朧とした意識の中気付いた。  もうあそこには戻らなくてもいい。  新しい世界が今目の前に現れた事に、心無しか笑みがこぼれる。
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