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キーンコーンカーンコーン…
調子外れなチャイムと同時にメールを送る。
『朝はゴメン。今終わった。』
鞄に教科書を詰め込んでいると携帯のメール着信を知らせるネオンが点滅する。
『今、学校の裏門近くにいる』
急いで返信する。
『今すぐ行く!!!!!』
ホームルームがなんて長いんだろう。
やっと終わる。だれにも引き止められる前に飛び出していた。
先生より、友達より、こぉちゃんの方が大切だから。
裏門から飛び出すと、こぉちゃんの車が目に入る。
バタンッ
「こぉちゃん!」
「よう。乗れ。」
急いで駆け寄って助手席にのる。
助手席は、僕より11センチ身長が高く、ピンヒールを鳴らして歩くお姉ちゃんの広さなのだということをわかっていたはずなのに、改めて実感してせつない。
「スタバ、いこ」
少し走って、駅近くにあるパーキングにとめる。
駅ビルの一角にある店に入る。
「俺は…チャイのショートで、おまえは…」
「ココアのショート」
間髪入れずに答える。
席に先についておく。すぐにこぉちゃんがくる。
「おまえ、朝と注文ちがうし。」
「こぉちゃんのチャイに比べたら、驚かないでしょ」
「すきなんだよ、これが」
「今飲みたくなったのはココアだったの」
「つかれてんのか?」
「それを言ったらこぉちゃんも疲れてる事になるよ?」
「気ままな大学生さまは大変なんだよ」
「恋愛関係がね。高校生さまも大変なんです!」
あなたへの恋心が暴走しそうで…ね…。
「で?今日は何?」
「いや、さぁ、再来週、明夜(あや)の誕生日だろ」
「なるほど、お姉ちゃんの好みを教えてほしいわけね」
何回も自分に言い聞かせてたはずなのに、心の何処かで期待してたのかな…なんか、ぐっさり傷付いてる。バカみたいだ。
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