7月3日(水)

6/9
前へ
/22ページ
次へ
「てか、 こんな事今更聞くののもどうかと思うんですが、 プロデューサーって結局何をやればいいんですか? それと、なんでよりによってオレなんですか? さっきメガネの人が言ってた通り、もっとちゃんとした人を雇えばいいじゃないですか」 この際だからハッキリさせておきたかった。 「まったく… 資料読まなかったんですか?」 クスクスと笑いながらこちらを見る小鳥さん。 「すいません… でも、資料が多すぎて目を通す暇がなくて。」 紛いな言い訳をする。 「…そうですか。」 少し微かに笑って話し出す。 「プロデューサーと言うのは… いろいろと意味がありますが、 この事務所では主にマネージャーとあんまり変わらないです。」 「マネージャー?」 「アイドルのスケジュール、 アイドルの体調管理、 アイドルのコンディション、 それらを常に把握していなければなりません。 また、アイドルとのコミュニケーションも大事です。 仕事を取ってきたり、アドバイスをしたり…」 淡々と話す小鳥さんには申し訳ないが、プロデューサーってのは面倒くさすぎる。 「そして、 彼女たちをトップアイドルへと導いていくのです。」 「トップアイドル…」 「この事務所に11人のアイドルがいます。 それを今はたった一人のプロデューサーだけで活動を行っています。 どういう意味かわかりますか?」 小鳥さんと目が合う。 「オレが必要… いや、 でもなぜオレなんですか!? もっと優秀な人材がいると思いますが…!」 「この会社にお金がないのは事実です。ですが…社長の孫でもあるあなたに可能性があるのも事実なんです。 もしかしたら、社長はあなたにこの会社を継がせる気なのかも知れません。」 「そんな勝手な…!」 「まぁ、もしかしたらですけどね。」 可愛らしく笑う小鳥さん。 この人、ホントにただの事務員か? 「…………わかりました。 それなりに頑張ってみます。」 その場だけの返事だと自分は思っていたが多分違った。 「あ、アキ君」 「はぃ?」 「アイドル資料はちゃんと読んでおいてね♪」 「アイドル資料…ですか?」 「この事務所に所属しているアイドル達のプロフィールとかが載っている資料よ。 まずは、全員の名前を覚えてくる事です!」 「は、はぃ!!」 小鳥さんもどこか変わった気がした。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加