12人が本棚に入れています
本棚に追加
「むぐっ」
青年は無理矢理突っ込まれて苦しげな声を出すが、入ってしまったものを吐き出すわけにもいかず、仕方なく口の中で、もぐもぐと食べていたのだった。
「赤いお兄ちゃん、美味しいでしょ?」
「ん……ところで、赤いお兄ちゃんとは俺の事か?」
篠理の無邪気な笑顔に戸惑いながら声には出さず頷いて肯定すれば、先程から自分を呼ぶ時の言葉が気になったのか、不思議そうして問い掛けた。
「うん♪だって赤いお兄ちゃんの名前わかんないもん……ねぇ、何て言うの?」
篠理はくりくりした目をパッチリと開き不思議そうに聞いてきた。
青年は再び戸惑うようにして、何やら狼狽しているとボソリと、極力小さな声で言ったのだ。
「俺の……名前は……解らない……」
「赤いお兄ちゃん名前解らないの?」
まさかそう返ってくるとは思わず更に不思議そうにして青年を見る篠理……
「あぁ……」
青年は何処か淋しげに頷いたのだ
「何で赤いお兄ちゃんには名前がないの? 赤いお兄ちゃんのお家は……?」
最初のコメントを投稿しよう!