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「サキお兄ちゃん……待った?」
問い掛ける篠理にサキはフードを目深に被ったまま篠理を見ようとしない……篠理は不満げな表情をするもハッと思いついたような顔をすれば嬉しそうにしてサキにで言ったのだ。
「サキお兄ちゃん! 行こっ」
「……どこへ?」
「篠理の家だよ! あのね、篠理の家にはね、パパが居るの……で、パパ今ご飯作ってるから……だからサキお兄ちゃんも行こ! パパも喜ぶよ♪」
と篠理は子供ながらの単純な説明をすればサキの腕をぐいぐいと引っ張る。
サキは断ろうと思えば普通に断れた。だか、何故かサキは嫌だと言えなかったのだ。
どうしてかといえば、サキにはこの少女が気になって仕方がなかったのだ。
それに、サキは自分が何故此処に居て、こんな所に座っているのかも解らない……ただ自分に秘められた普通の人とは違う能力のせいで何も解らないのだ……と、そう感じていた。
だが、この少女からは何故か懐かしい香りがした……何処かで会ったような、という感覚である。
だから、篠理が強引に押し付けた約束も面倒だから待っているつもりは無かったのだ。だから移動しようと思ったが、中々踏み切れなくボーッ座っていた。
そして、篠理が服の裾を引っ張るのにも嫌気がさしてそれを振りほどこうともしたが、篠理の無邪気な笑顔を見て振り払えなかった。
だから渋々とサキは着いていく事になった……
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