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「篠理……約束しただろう?」
「解ってるよ! 今日はちゃんと行くんだからっ!」
父であるタクミが注意を促そうと、篠理と同じ目の高さにしゃがみ込み口を開き話そうとするも、篠理が元気な笑顔で言う言葉に、タクミは元々娘に弱いのか優しげな笑みを浮かべて、注意するのを止めたのだった。
タクミは仕方ないという風に息を吐き出せば、未だパジャマ姿の篠理に「早く着替えなさい」と、少し急かさせて先に車に乗り込んだのだ。
残った篠理はクローゼットから服を引っ張り出してきた。
紺の薄い生地の服に、その上から着る為の純白の色、そして左腕に金の刺繍を施された上着で、下のスカートは、短めに膝上までの薄い青みのかかった色をしている。
そして、パジャマから学校の制服に着替えると、最後に黒の靴下を膝上まで履き慌てて鞄を持ち、急いでタクミが待つ車へと歩いて行ったのだった。
何十分か経ち、直ぐに目的の学校に着いたのだ。
「ほら、着いたぞ」
学校と言われた建物は綺麗でまるで、教会のような構造で屋根は赤くなっており、壁は薄いクリーム色が塗料されていて、学校にしては大きく、庭が広々と見える。
庭には沢山の遊具が備え付けられており、ブランコや滑り台と沢山設置されているのだ。その割には門は威厳高々と豪華に造られており蔦のような葉っぱが少し巻き付いて、それがまた風格ありげだ……
篠理は車から降りる際に、父であるタクミにキスを落とすと「いってきます!」と元気よく言い、走り門を潜るとグランドへ出て、そのまま教室へと向かった……
学校の廊下の色は、クリーム色で統一させており、廊下の上には、赤い絨毯が、全ての廊下に敷かれている。
篠理はそんな絨毯を踏む度にフワッとする感触がとても好きなのだ。
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