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ぱたん…
家のドアが閉まる音がいやに大きく響く。
律は未だに腕を掴んだまま、半ば引きずるようにリビングへと入った。
『りっちゃん…?あの…ど、うしたの…?』
先生とのあれ、見たから…?
律は黙って京をソファーに座らせた。そして同じ目線になるようにしゃがみこむ。
「消毒しないといけませんね。…綺麗な髪に、目元に簡単に触らせるなんて…」
無表情な顔が近づく。少し怖く感じ、奥へと逃げる。律は背もたれに手をつくと、するっ…と髪を触った。
「京、約束してください。知り合ってすぐのような男に簡単に触らせないって」
『う、うん…ごめんね…』
律に怒られたことがない京は、初めて見る律に目を伏せた。
ぎし、とソファーが軋み律が膝をついた。そして淳希にキスされたところに丁寧に口づける。
『りっちゃん、くすぐったいよっ』
「…ところで、あれは誰ですか?見たところ先生のようでしたが」
隣に座り、京の髪をいじりながら顔を覗き込む。
先生は黙ってて…って言ったよね…
『そ、そう!保健医なの!なんか女の子みんなにああゆうことしてるみたいだから、大丈夫
あたしだけじゃないよ?』
その言葉にまゆをひそめる律。
「京、みんなにしてるから安心てわけじゃないですよ。
…それに京は可愛いんですから狙われるに決まってる。良いですか?あの男には絶対に近づかないで。
せめてふたりっきりは避けてくださいよ?」
京の頭を自分の肩へと傾けさせる。
素直に律に寄りかかり、目を閉じた。
『うん。分かった。…でもねりっちゃん、あたしからもお願いがあるの』
「…なんでしょう」
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