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『んっはーいい天気ー!!いい人たちと出会えそうだっ』
新品の制服に腕を通し、窓を開けると広がる青。
「京ーっ、早く出ないと遅刻しますよー!!」
階下から聞こえてきた自分を呼ぶ声に京<ケイ>は笑みを浮かべて部屋を出た。
「全く、新しい学校でもこの調子じゃ困ります!
京ももう17才なんですからそれ相応の…」
『分かってるよりっちゃん!』
あたしこと黒河 京<クロカワ ケイ>はこの度新しい学校に転校することになった。
訳ありで両親はなく、今目の前で朝食を作ってくれている血のつながらないお兄ちゃん、黒河 律<リツ>が親代わりだ。
『…りっちゃんて本と良い嫁になると思うよ』
目の前に出された朝食を見て惚れ惚れと言う京にくす、と笑う。
「何で僕が嫁?…嫁にいくんだったら京のとこじゃなきゃいけませんね
料理、壊滅的ですし」
真面目な顔で言う兄に京はふくれた。
兄の律は京から見ても正に才色兼備な人だった。昔から頭が良く女の人に告白された回数は3桁を軽く越えている。
そんな兄には何を言われても反論できない。
『た…卵焼きできるもん…』
「すごく甘かったですけどね」
『…』
ずばずば言うりっちゃんだけど、本とはかなり優しい。
クールでかっこよくて、料理まで上手い人がお兄ちゃんなんて…
『あたしって恵まれてるよなあ』
「また京ワールドにトリップですか?」
笑う律にそう言えば、と意識をこちらがわに戻す京。
『りっちゃん学校は?』
「今日は小学校休みらしいです。でも今日は色々と忙しいですね」
りっちゃんは大学を卒業してすぐ小学校の先生になった。
小学校に囲まれてるりっちゃんなんて、鼻血もの…
『…やばいやばい。またトリップするとこだった…
…ごちそさまっ!あたしそろそろ行くね?』
「本当についていかなくて大丈夫ですか?迷子とか…」
『りっちゃんあたし一応高校生…』
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