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何でだろう。年下なのに。
涙を堪える京を無性に触りたくてたまらない。
…きっと、俺に媚び売るとき以外の泣き顔を見るのが初めてだからだ。
飽きたら捨てる。そのたびに相手はわざと泣きついてきた。
お前らが好きなのはこの顔だろう?
何度思ってきたことか。
だから、初めての純粋な泣き顔に心が揺れたのは本当で。
『…帰りたくないよ…』
弱々しい声に反応してしまう。
「…俺んちに来る?」
え…?と潤んだ瞳に見上げられ、必死に微笑を浮かべた。
「嘘。学校にバレたら面倒くさいし。…水瀬せんせと都、よくバレないな…
あいつら慎重なのか大胆なのか分かんないわ」
いらない話しがつらつらと口から出てくる。
京はふ、と笑った。
淳希は黙って京を見つめる。
『…そうなんだ。あたしからも注意しとかなきゃね。
淳希、ありがとう。ちょっと本気で心配してくれたでしょ』
顔がマジだったよ~
と笑う。
淳希はすっ と京に手を伸ばした。視線を合わすと近づいてくる淳希の顔。
『へっ!?…やっちょっと…っ』
顔を逸らし胸板を押して抵抗する。
その途端、ぱっ と淳希が離れた。
「なんてねっ!びっくりした?キスされるかと思っただろ?」
にやにやする淳希に顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
『許してあげようと思ったけどやっぱりやめた!』
「えー許してくんなきゃ今度はキスするよー?…てか今普通に名前で呼んでくれたね」
心底嬉しそうな淳希にどきっとした。
『…っ名前で呼ばなきゃまたあんなことされるからっ!』
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