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…――
「はい、連絡は以上。きりーつ!!」
放課後に近づくにつれて生き生きと光りだした水瀬の目。
早く挨拶を済ませろと言わんばかりに委員長を見る。
「れっ礼!!」
委員長は水瀬に気圧され、少し声がうわずってしまったらしい。そそくさと教室を後にした。
「あはっ!委員長かわいかった!」
くすくす笑って再び席に座った都と來斗。
「まだ水瀬に慣れてないよね彼は」
『先生って面白いのにね?』
都は笑いながら京を見上げた。
「京、今日さあ、放課後時間あったら遊ばない?」
放課後か…りっちゃんと会いたくないしな…
ちょっとくらい良いか。
京はすぐに頷いた。
『うん!初めてだよねっ』
京の嬉しそうな笑顔にほっとしたような都。都は京に抱きついた。
「はあ…京かわい」
『何がですか』
來斗は楽しそうに二人を見ていたが、ふとたつきに視線を移した。
たつきの表情に笑みが消える。
なんて顔してんだよ…
京ちゃんのこと、莉遊と重ねてんのか?
切なそうなたつきに來斗は笑顔を浮かべた。
「たつき!ぼーっとしてんじゃないよ良い若もんが!」
「っ!…あ、うん。…そうだな…」
いったん來斗を見たものの、気になるのかすぐに京に視線を戻した。
「たつき…」
教室はあっという間に人が居なくなった。京と都がようやく口をつぐんだ頃には水瀬が面倒くさそうに教卓に肘をついて煙草を吸っていた。
「あらっみんな帰るの早いねー」
「あほうめ。お前らが喋ってるのが長いんだよ
で!いつ帰んだお前らは」
「…俺補習しないでいいの?」
たつきの言葉にぽろっと煙草を落として落胆の表情を浮かべる水瀬。
「あああー忘れてたー…糞だりいな」
『先生…』
先生が言う言葉じゃないよ…
「いつものことよ、気にしない!じゃああたしら待ってるよ。どうせすぐ終わるでしょ?」
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