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都が京と來斗を振り返る。
「大丈夫?こいつすぐ終わると思うんだけど」
『うん、大丈夫!』
「構いませーん」
ふと、たつきと目が合った。
真っ直ぐな視線に屋上での事が思い出されて、俯いてしまう。
「あいよ。小林と奥間先生から、物理と世界史。
俺からのは…良いや」
「いや駄目だろうが!」
來斗のツッコミに、くわえていた煙草をゆっくりと手に持ち
黙って微笑み返した水瀬。
「…ごめんなさい」
「物分かりの良い奴は好きだぞー來斗」
『やっぱり面白いね』
くすっと笑う京。
「そうだね。こいつら見てるだけで飽きないの」
心底嬉しそうに言う都に、京は頭を撫でた。
『都ちゃん可愛いなあ…みんな大好きって感じが伝わる』
「一番は水瀬よ?」
小声で、しかし悪戯っぽく笑う都。
笑い合う二人に水瀬が思い出したように声をかけた。
「あ、そういや京。淳希が呼んでたぞ?」
たつきのシャーペンの動きが止まった。
『え?あ、多分ケータイだ!!先生ありがと忘れてた!!』
時計を見て慌てて席を立つ京。
「「いてら」」
來斗と都が手を振る。
たつきが顔を上げた時にはもう京は教室を出たあとだった。
「…」
「たつき」
動かないたつきに水瀬は声をかけた。
「淳希はガキなんか興味持ってねえよ。さっさとやれ。
早く帰りたい」
「…早く帰りたいのが本音だろが」
ため息をついて再びシャーペンを走らせるたつき。
3人は黙って顔を見合わせた。
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