境界

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…―― 『保健室一階だったっけ…二階を探してたよ…』 早く覚えなきゃ、と呟きながら戸をノックした。 返事がない。 『もう帰っちゃったかな。都ちゃん達と話しまくってたからな…』 ふと、保健室から音楽が流れてきた。 耳を澄ます。 『これ私のケータイ!!』 思わず戸を開けた。 そこには京のケータイを手に立ち尽くす淳希がいた。 『ちょ…淳希!勝手に見ないでよ!!』 慌てて淳希に駆け寄るとケータイを持つ手を上げられた。 「ねえ、律って異常じゃない?」 『え?』 動きを止めた京を見つめる淳希。 「さっきから、ていうか終礼が終わった時間からメールと着信が20件はきてる」 『うそ…!?』 ほら、と言って渡したケータイを食い入るように見つめる京。 全てを確認し終えると、自然に淳希を見上げた。 「'一緒に帰ろう?''京、今どこ?' そればっか。本当に京のこと…」 『やめて!…っりっちゃんはお兄ちゃんだもん…口きかないことなんてめったにないから心配してるだけ、だよ!』 「何で泣きそうなの?京」 はっとした。 『ち、ちが…』
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