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『えええ!? ほっ本とに!?』
あの水瀬先生が!?
赤くなる京に真っ赤になる都。
「なっなっ何で京が照れるのよ!!」
『だっだってだってあの水瀬先生が!!』
何故か手を握り合う二人に影が落ちた。
「お前は本とにしょーがねえな…」
びくっと震え、ゆっくりと振り返る二人。煙草の煙を吐き出しながらめんどくさそうに立つ、水瀬。
「水瀬…っ」
「駄目じゃーん都ちゃん!そんなに軽くしゃべっちゃあ」
水瀬の後ろからひょこっと顔を出したのは保健医の先生だった。
『あ』
「また会ったね」
にこ、と笑う先生。
水瀬は都の隣に座りこんだ。
「今度誰かに喋ったらここで飯食えないよーにするから」
「えええ!それは嫌!!」
屋上ってやっぱり生徒立ち入り禁止なんじゃん。
京達は屋上でお昼を食べていた。ドアを開ける際、《生徒立ち入り禁止》と書かれた紙が貼ってあるのを都と來斗は全然構わずに入っていったので京は不思議に思っていた。
先生の権力…やっぱり何か大人…
「なあ…水瀬…俺、もう都ちゃんと一緒にいたくない…」
床に倒れ、袖を噛む來斗。
「都ちゃんの毒舌にもうガラスのハートの僕は耐えられません…」
「もう一匹はどうした」
水瀬は構わずに聞き返す。
「あいつまたサボリ」
「またかよ…おいそこで泣いてる奴。明日休んだら退学って言っとけたつきに」
がばっ!!と起き上がり叫ぶ來斗。
「都ちゃんのお守りのうえにパシリ!?俺ってなんなの!?水瀬の可愛い教え子かつ都ちゃんの親友よ!?」
「男女間に親友というものはナイよ來斗♪」
俺の持論だけど、と楽しそうに笑う先生。
『あの、先生、その人よく休むの?』
先生は京の隣に座り、微笑んだ。
「京も俺のこと名前で呼んでよ。淳希って」
『あ…つき…?』
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