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「ただいま」
「ただいま~」
もはや『お邪魔します』ですらないのね、あなたは…
「疲れた…」
鞄をベッドに放り投げて、ついでに自分も倒れこんだ
後三日で一学期は終わりだ
いつもなら嬉しい筈の夏休みだが…
「琉~、ゲームつけるよ~?」
今年は毎日コイツと一緒か…
帰って来てくれたのは確かに嬉しいんだけど…
「琉~?一緒にやろ~?」
何せ、疲れる…
「すまん、少し寝かせてくれ…」
駄目だ、意識が遠のいていく
「ん…?」
六時…か
ん?
一階からいい匂いがする
不思議に思いながら階段を降りてゆく
「あ、やっと起きたね?」
下では茜が夕飯を作っていた
コイツ
もはや幽霊とは呼べないんじゃ…
足はないんだけどなぁ
「もうすぐ出来るから座ってまってて~」
「へーい」
テレビをつけて椅子に座る
「ほい、出来たよ~」
テーブルにはなかなか彩りの良い中華料理の大皿が四枚
こう見えて茜は昔から料理が上手い
しかし…
「これ、俺一人で食べるの?」
まさかとは思うが…
「へ?あたしも食べるよ?」
やっぱり
俺が知ってる幽霊って一体…
「それじゃ、いただきま~す」
「いただきます」
うん、旨い
「おぉ、我ながら傑作だ!」
賑やかな食卓は久しぶりだ
黙々と食べ続ける二人
「ふぅ、ごちそうさま」
「ごちそうさま~」
大皿の料理もあっというまに平らげてしまった
「さて、茜さん」
「はい?」
「一応聞いておきますが、あなたは家に泊まる気満々ですね?」
「当たり前ぢゃん」
だよな…
「部屋、どうする?」
「決まってるじゃん、琉とおんなじ部屋」
マジかい…
「ほら、さっさと片付けて部屋行くよ?」
「はぁ~…」
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