お化け

6/7
前へ
/197ページ
次へ
「ただいま」 「ただいま~」 もはや『お邪魔します』ですらないのね、あなたは… 「疲れた…」 鞄をベッドに放り投げて、ついでに自分も倒れこんだ 後三日で一学期は終わりだ いつもなら嬉しい筈の夏休みだが… 「琉~、ゲームつけるよ~?」 今年は毎日コイツと一緒か… 帰って来てくれたのは確かに嬉しいんだけど… 「琉~?一緒にやろ~?」 何せ、疲れる… 「すまん、少し寝かせてくれ…」 駄目だ、意識が遠のいていく 「ん…?」 六時…か ん? 一階からいい匂いがする 不思議に思いながら階段を降りてゆく 「あ、やっと起きたね?」 下では茜が夕飯を作っていた コイツ もはや幽霊とは呼べないんじゃ… 足はないんだけどなぁ 「もうすぐ出来るから座ってまってて~」 「へーい」 テレビをつけて椅子に座る 「ほい、出来たよ~」 テーブルにはなかなか彩りの良い中華料理の大皿が四枚 こう見えて茜は昔から料理が上手い しかし… 「これ、俺一人で食べるの?」 まさかとは思うが… 「へ?あたしも食べるよ?」 やっぱり 俺が知ってる幽霊って一体… 「それじゃ、いただきま~す」 「いただきます」 うん、旨い 「おぉ、我ながら傑作だ!」 賑やかな食卓は久しぶりだ 黙々と食べ続ける二人 「ふぅ、ごちそうさま」 「ごちそうさま~」 大皿の料理もあっというまに平らげてしまった 「さて、茜さん」 「はい?」 「一応聞いておきますが、あなたは家に泊まる気満々ですね?」 「当たり前ぢゃん」 だよな… 「部屋、どうする?」 「決まってるじゃん、琉とおんなじ部屋」 マジかい… 「ほら、さっさと片付けて部屋行くよ?」 「はぁ~…」
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2227人が本棚に入れています
本棚に追加