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「確かに少し怖いぞ…」
背中にお荷物を背負い夜の校舎を一人歩く
「すぅ…」
「呑気だねぇ…」
行きは怖いが帰りはヨイヨイ
長生きしそうだな、死んでるけど…
「しかしまぁ…」
コイツも案外普通の女の子なんだなぁ
狂った時は暴走機関車のクセに…
にしても、俺もちょっとやりすぎた感じは否めないが…
「ちょっと顔合わせづらいな…」
「…バカ」
「お?起きたか?」
「も~、顔合わせられないよ~…」
そう愚痴りながら背中に顔を埋めてくる
「恥ずかしかった~…」
「そうか?いつもお前がやってることなんだが…」
「あそこまでやらないよ~!」
「まあまあ、俺だって恥ずかしかったんだから」
「むぅ…」
唸って、また黙り込んでしまった
やはりさっきの俺の行動が効いているみたいだ
ここまでしおらしい茜は久しぶりだろう
「さっきのさ…」
「ん?俺の?」
「うん、あれでさ、ずっと一緒に居たいって言ってたよね?」
「ああ、言ったな」
「あれってさ、その…」
ゴニョゴニョと…
言いかけて、また黙ってしまった…
仕方ないなぁ…
「…まぁ、お前が思ってる通りだと思うぞ?」
「…冗談じゃなくて?」
「いや、あの雰囲気で冗談はちょっと言えないかな…」
榊の事を聞かれた時の雰囲気なら別だが…
「…私、信じちゃうよ?」
「お~信じとけ、ついでに俺の気が変わらないように祈ってろ」
「…うん!」
今度は嬉しそうに抱きついてくる
「あ~あ…私の夢、叶っちゃったじゃん」
「ああ、あれか?」
「そうよ~、ずっと夢見てたあれ…」
夏の空の下で、茜が心に誓った夢
ずっと前から叶っていたようで今まで叶っていなかった夢
けど、そんなはっきりしない毎日も今日で終わり
「えへへ~、こんな幸せ掴んじゃったら成仏なんて出来ないね~!」
「へいへい、じゃあ毎日俺のために味噌汁作ってください」
「うん!頑張るよ~!」
けじめをつけても、結局始まるのはいつも通りの毎日
そんないつも通りこそが、いつまでも変わらない二人の心の形なのだから…
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