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待った
「おい」
「す、すぅ~…」
「…足元にゴキブリ」
「ひぁ!?」
…この時期にゴキブリがいるわけないし
「…グル?」
「はい♪」
「え、えへへ~…」
ということは…
『彼女、起きちゃいますよ?』
…最初からかよ
「ふふ…でも、彼女の顔を見てください?」
耳元、茜に聞こえないように言う
…茜の顔?
「あれ?もう夕方だ~、それそろ帰らなきゃね~」
あはは~、なんていつもと変わらない脳天気っぷりだが…?
「ほら、彼女の目元…」
「目元?」
笑っている茜の目には…
「…涙」
…そうか
「彼女、可愛いですね。それに素直で明るくて…だからちょ~っと妬けちゃいました」
「ちょっと妬けたにしてはなかなか迫真の演技だったが…」
「まあ、彼女と違って腹黒いですからね私」
ええ、本当にそう思います…
「さて、じゃあ私はこれで帰ります。今日は楽しめましたよ、ふふ…」
そして含みを残さないでくれ、頼むから…
「あ、それと茜さん、ちょっとだけ彼借りてきますね?」
「ほ~い!流、浮気するなよ~」
「お前も、ちゃんと涙拭いとけよ?」
「っ…な、泣いてないもんっ!」
別に強がらんでも…
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