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「あがったよ~」
「ああ、ちゃんと髪拭けよ?」
言って、和菓子のサービス
「お、気が利くね~」
中々の好評、少し値が張っただけはある
「…あ~あ、やっぱり琉はカッコいいな~」
「はぁ?」
「だって、泣き言一つ言わないんだもん」
「まぁ、男だしな…」
っていうかあんまり弱い部分を見せると励ましという名の暴走が始まるし…
「…バカ」
「お?」
珍しい、茜が飛び付かずに普通に抱き締めてきた
「ほら、泣きなさい」
「…バレてた?」
「当たり前じゃん、夕方からずっと辛そうな顔してた」
むぅ、自分では結構平常心でいたつもりだったのだが…
「…辛いのはね、独りで抱え込んじゃダメなんだよ?」
優しく、抱きしめた俺の頭を撫でながら茜は言う
「琉は私をいっぱい助けてくれた。けどね、今の琉は自分の事を助けてあげなきゃダメだよ?」
茜の言葉が胸に染みてくる
「私は消えないよ…」
―俺もそう願う―
「愛した人と一緒に笑って、泣いて、ケンカして、すぐに仲直りして…」
―そんな日常を願う―
「ずっとずっと、愛した人と二人で支えあって歩いていく…」
救われた
隣にいたのが茜じゃなかったら、きっといつか心が駄目になったと思う
…だから、今だけ
また、明日からコイツを助けられる様に
「…ごめん、ありがとう…」
「うんうん、抱え込んでた物を全部吐き出しちゃいなさい!」
初めて、一晩だけ甘えることにした
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