真実

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今、愛する人が私の胸で泣いている 私は安心した だって、彼は今まで誰も頼ってこなかったから 親が死んだ時も、彼は自分の苦しみを誰にも打ち明けなかった 思えばあの日から、彼は自分の荷物を自分だけで持つようになってしまった その上、ただでさえ潰れそうなのに彼は私の荷物をも背負ってしまった そして今日、きっとあの後彼はまた荷物を背負ってしまったのだろう 私は自分を責めた 彼を苦しめているのは私 けど、私が消えたら彼が背負っているモノ全てが彼自身の物になる それがいつなのかはわからない 『私は消えないよ…』 だから、せめて消えてしまう前に 『愛した人と一緒に笑って、泣いて、ケンカして、すぐに仲直りして…』 私は私の荷物を自分で持って 『ずっとずっと、愛した人と二人で支えあって歩いていく…』 いつまでも、彼が笑っていられる様にしよう
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