浮き輪と地獄

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茜が家に来て一週間 「…暑い」 ここは家の中 「暑いね~、クーラーつけなよ」 夏休み 「クーラーはお前がゴキブリを潰すという名目で大破させただろ…」 クーラーを壊された… 「えっへん、空を飛べるって便利でしょ?」 駄目だ、暑くて怒る気にもなれん… 「あ、修理屋さん来たよ~」 「ふぅ…」 涼しい 「涼しいね~、あんなに暑いとストレス溜っちゃう」 あはは、君が幽霊じゃなかったら弁償してもらってたよ 「こんなに暑いとプールとか海とか行きたいなぁ」 「ぼかぁガンガンにクーラーの効いた部屋で夏休みの宿題をやりたいなぁ」 「もやしっ子…」 確かに… 「ねぇ、琉~」 「いやだ」 「海行きたいなぁ」 パーフェクトなスルー どうやら俺には基本的人権すら無いみたいだ 「行きたいなぁ~」 はぁ~… 「お前、行きたいのは分かるけど水着なんて無いだろ?」 「あぁ、それなら大丈夫だよ?」 その瞬間 茜は普段着からスクール水着にかわっていた 「ほらね?」 「幽霊って無茶苦茶だ…」 ご都合主義とはこういうことだろう… 「行きたいなぁ~」 「わかった、わかったから普段着に戻れ…」 はぁ~ 甘いな、俺… というよりコイツ 自分が幽霊だということを自覚しているのだろうか…?
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