浮き輪と地獄

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まさか… まさか思い立ったら吉日とばかりに即出掛けることになるとは… 「あ、海見えてきたよ~」 家を出て早二時間 茜の希望で少し遠目の海岸に行く事にした 「うわぁ、蒼いな~」 お子様モード全開の茜 そういえば、生前一緒に来たことなかったな 今もほとんど生きてるようなもんだが… 「ちょっと田舎の方まで来たからあんまり人がいないな」 ラッキーだ みんな茜が見えないということは俺は一人寂しく海に来たナンパ野郎になるからな… 「ここら辺で良いんじゃない?」 「だな」 あまり人目につかない場所にシートを敷く ふぅ~ これでやっとゆっくり出来… 「さぁ、海に入りましょ~!」 …なかった 「もう、こんな人生いやだ…」 「も~、死んだって良いこと…結構あるかも」 そう、コイツと一緒にいてトラブルにならなかったことはない 俺は浮き輪でプカプカのんびりしてたのに… 「沖まで行こ~!」 なんて言って引っ張って行きやがった カナヅチだったのに、今は宙に浮けるからなコイツ… しかも… 「あれ、陸ってどっち?」 なんて言い始める始末… 「茜…」 「ほぇ?」 「生きて陸に返してくれたらなんでも願いを聞いてやるから…」 「おぉ!」 「今すぐなんとかしなさい!!」 「ラジャ!」 そういって、茜は空高く飛んで行った 「琉~、陸が見えたよ~」 最初からそうすれば良かったのね…
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