遭難/in the house

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「結局…なんだったんだろうね?」 縁側で二人、緑茶をすすりながらのんびり話す 「なんであんなものが地下室にあるのかな?」 「それがなぁ、なんかいろいろ思い出してきたんだよ」 そう、あれは俺も茜もまだまだチビの頃だ たしかアルバムから写真ひっぺかしてきて 「お母さん、ここどこ?」 「ここ?ここはイギリスよ」 「お父さんと行ったの?」 「そう、新婚旅行で世界中旅したのよ♪」 「すごいねぇ、楽しかった?」 「ええ、しかもとってもリーズナブルだったし…ねぇあなた?」 「ああ、たまにはセールスってのも受けてみるもんだよなぁ」 「これ、押し売りセールスなの?」 「らしいんだよなぁ、ただどう考えても常識で考えられる品じゃないよな」 「誰だろうね、こんなへんてこな物つくっちゃう人」 「へくちっ!!…うう、図書準備室は妙に冷えますね…あれ?そういえば今日は彼女達が来ませんねぇ、お菓子も用意し…む?今日は何曜日でしたっけ?」 「ま、便利な道具っぽいし誰が作ったかなんていいんじゃない?」 「そだね」 「よし、素直なよい子には芋ようかんをあげよう」 「やた~♪」 春過ぎた庭先 昼下がりに縁側でのんびり 海外へ旅行も悪くないけど 「おっきい方がわたしね?」 「へいへい、お好きにどうぞ」 まぁ、俺達二人にはこっちのペースのほうが合っているってことで…
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