浮き輪と地獄

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「海コワイ…、海コワイ…」 体験して初めてわかる遭難の恐怖 「あはは~、楽しかった~!」 無邪気って怖い… 結構時間たったよな 今何時だろ? 『14:22』 まだそんなですか… 時間がたつのが恐ろしく遅く感じる… 「ねぇ、琉~」 「ふぁい…?」 「なんで琉はわたしのお願いをいっぱい聞いてくれるの…?」 なんでって… 「なんで?」 「だって、私は琉をいっぱい困らせてるんだよ?」 自覚はしてたのかい… 理由ねぇ… 「そんなの…わからん」 「わからん、って…」 だって、理由なんて無いし… 「強いて言うなら…」 「言うなら?」 「茜が茜だからかな」 「私が私だから?」 むぅ~、と唸りながら悩みに悩む茜 なんでだろ 自分でもよく分からないんだよなぁ 「琉の言うことは難しすぎ~」 どうやらギブアップしたようだ けど、言われてみれば確かにそうだな 茜とは小さい頃からずっと一緒にいるけど… どんな無茶な願いでも叶えてあげてたな、俺 「そんなことしなくても、私の好感度は最初からMAXなのに~」 「好感度をあげるためなら新作のゲームを買ってあげる方が安上がりだろ…」 「あぁ、確かにそうかもね~」 否定しないのね… 喋ってるうちに、夕暮れになってしまった 「さて、そろそろ帰りますか」 「そだね~」 流石に茜もお疲れの様子だ 「琉」 「ん?」 「手、繋ご?」 「ああ」 昔から茜は二人きりになると手を繋ぎたがる 少し恥ずかしいが、別に嫌ではなかった 電車の中でまどろみに包まれる 「琉、眠い?」 「かなりな」 多分あと五分もしたら寝てしまうだろう 「よりかかってもいいよ?」 有難い お言葉に甘えることにする 「茜」 「なに?」 「ありがとう」 それだけ言うと、俺の意識は落ちてしまった…
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