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実体を持たない、吸血鬼の祖。一度だけ、実体がないということで、茜が所属していた第三にも資料が回ってきたもんだ。
どんな吸血鬼より血を好み、唯一無比の存在である彼は、吸血鬼というよりかは悪魔や悪霊に近い。だが、どんな悪魔払いの言葉も、儀式も効かず、塩すらも平気なのだという。
伝説の人物の様に語られたそれはまるで存在しないかのようだった。
半分、作り話だろうと思っていたものがいる……しかも一真の元へ訪ねてきたというのだから、なにかない訳がない。
問いただしたいし、話し合いたいけれど正直一真に会うのが怖かった。
茜が襲われたと言う事実を知った以上、彼は全力であの獣を探すだろう。そして、殺すかもしれない。
たまに一真が怖くなるのはそこだ。
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