*第一話*桜花を鎮静せよ!

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どれくらい眠ったのだろう。 時の感覚が分からなくなるくらい、僕の身体は昏睡していた。 僕は自室ではなく、和室に寝かされている。 この場所は静かで、父も好んで使う場所だった。 「──真。侑真」 体を揺すられ、頭上で名前が呼ばれている。 「駄目です。起きません……」 「小桜、そう焦るもんじゃない」 微かに聞こえるのは父と小桜の二人の声。 心配そうな顔をした小桜が目に浮かびそうだ。 父の声音も幾分低く感じる。 目を開けたくても、何故か開けれない。 このもどかしさに、僕は苛立ちを感じた。 (お父さん、小桜……) 心で声に出しても二人には通じず、僕の中に戻るだけ。 少しでも体を動かそうと試みるが、金縛りのようにピクリとも動かない。 シーンという静寂の音が鳴り、しばらくの間それが続いた。 聞こえるのは、時計の規則正しい針の音だけ……。 「そろそろ、良いだろう」 意外にも、その静寂を最初に打ち破ったのは父だった。 小桜はキョトンとした顔で彼を見上げる。 そんな小桜にニッコリと笑い、 「──侑真、起きなさい」 柏手を一つ、打ち鳴らした。
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