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涙が一通り落ち着いたとき、父が口を開く。
「落ち着いたか?」
「はい、お父さん。有難う御座いました……」
まだ涙声だったが、僕は素直に礼を言った。
父はニコリと笑い、もう一度クシャクシャと頭を撫でる。
そして、
「侑真、あと数分で明日になる。明日は何の日か分かるか?」
そう僕に問いた。
いきなりのことに僕は狼狽えるが、頭の中で答えを探す。
壁に掛かっているカレンダーで日付を確認した。
意識を失った日が月曜日。
それから僕が意識を失って五日目の今日は土曜日だ。
「あ。明日は……」
そう、明日は。
後、数秒で時計の秒針が十二に重なる。
カチッ……カチッ……。
「四月十九日。僕の」
僕の。
カチッ……カチッ……。
「生まれた日です」
──ボーンッ!!
僕が言い終わるのと同時に、時計の鐘が鳴り響いた。
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