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クシャクシャと父も笑いながら、僕に話し掛ける。
「そうだぞ?何も明日、明後日に鎮静しろとは言っていない。退魔法をやっても不安定だからな」
確かにそうだ。
力が覚醒したからといって、そのまま行かせれば今回の二の舞となってしまう。
最悪の場合、前より強い妖気に中てられ昏睡状態となる。
それなりの対処法を備えてなければならない。
「よって、侑真は一週間程学校から帰ったら修行すること」
「あら、それは良い提案ですわ旦那様」
「…………」
「そうだろう、そうだろう」と父はいつもの寛容のある笑顔で笑い、
小桜もニコリと微笑んでいた。
二人の周囲で花が飛んでいる雰囲気に割り込めないまま、僕は行き場の無い状態にさらされる。
(僕の意見は……?)
どうして父には敵わないのだろうと僕は頭を抱えた。
視線を感じ、ふと顔を上げると父と目が合う。
「うっ……」
タラリと冷や汗が一筋、頬を流れた。
父の表情は眩しいくらいニッコリと笑っていて、背後には「修行への有無は聞かない・言わせない」という暗黙の文字が見えている。
逃げられない修行を覚悟し、己の力の向上と使命を果たすため。
「今日から宜しくお願いします」
そう、父達に頭を下げる僕だった。
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