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時刻は真夜中、午前零時。
星の光は無く、暗黒の幕が引かれていた。
僕の身体を、生温い異様な風が吹き抜けていく。
ジワリとまとわりつくような汗が身体を湿らせる。
その感触に気持ち悪さを感じながら、僕は目の前のモノと対峙していた。
目の前にいるのは怪奇に満ちた異形なモノ。
百年以上生き長らえた桜花精が、妖気を放ち僕を睨んでいる。
気を抜けば妖気にあてられ、気を失ってしまいそうだ。
手印を組みながら、ジリジリと前へ前へ進んでいく。
何故、こんな事をしているのか。
事の始まりはニ週間程前に遡る。
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