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「そシたら、頭ン中に言葉が聞こえてきたの」
ゆっくりと四之宮さんは立ち上がり、僕達の方へと歩み出した。
一歩、また一歩と近づいてくる。
腕は力なくダラリと下がり、上体も前屈みで。
踏み出した所には、黒く淀んだ瘴気がまとっていた。
「身近にアル桜に釘を打てッテ……。そうすれば、父ハお前を見テくれるッテ」
開かれた口からも瘴気が溢れ、煙となり宙に浮く。
目は赤く光り、重苦しい覇気をかもし出す四之宮さん。
もう彼女は彼女ではなくなってしまっていた。
「ひよっこ。覚悟はいいか?」
「っ、はい」
こうなれば彼女に取り付く原因を除霊・鎮静し、『四之宮さくら』本人を取り戻すしかない。
ジリジリと黒板の方に追い詰められていく僕達。
僕は隠しておいた呪符を握り締め、取り付いたモノが動き出す機会をうかがった。
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