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「ダカラ、私ハ釘を打ったノ!お父さんガ私を見てくれるナラ……」
トンッと僕達の背中が黒板にぶつかると同時に――。
「いくら桜ヲ傷付ケテモ構わナイッ!!」
そう叫んだ四之宮さんは腕を振り下ろし、僕と湊都さんの間を断った。
「湊さんっ」
振り下ろされた瞬間、僕達は左右に飛んでその場から離れる。
粉塵が上がった中、多分湊都さんがいるであろう場所に声をかけた。
その声に反応し、四之宮さんもとい悪しきモノが反応して赤い目を光らせる。
「俺より自分の心配をしろ、ひよっこ」
タンッと壁を蹴る音が聞こえた後、湊都さんは青年の傍に立って手印を組んでいた。
青年も武器らしき刃物を手に、悪しきモノを冷ややかな目で見据えている。
「小賢シイ術者メェェェ……」
黒い煙を吐きながら、悪しきモノは僕達を探す。
先程の舞い上がった粉塵が視界をくらませ、悪しきモノを錯乱させていた。
僕達も微かな妖気で大体の位置は分かるものの、いつ攻撃してくるか分からない。
僕はさっと窓の外を確認し、悪しきモノを誘き寄せる場所がないか視線を巡らせた。
しかし校庭には――桜が、桜花精がいる。
きっと彼女の姿を悪しきモノに見せてしまったら……。
襲われること間違いないだろう。
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