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ならば。
「結界、二陣(フジン)空切(クウセツ)」
僕は手印を結び、呪符を天井へ飛ばす。
呪符が天井に張り付いた一瞬だけ、光が教室内を巡った。
「これでここは亜空間になりました。思う存分、向き合うことが出来ます」
ようやく姿が見えた悪しきモノに、僕は笑って言う。
しかし、自分に扱える結界はこれぐらいなもので。
精神力も霊能力も消費が激しく、未熟な自分が耐えれる時間は長くなかった。
「(二陣はまだ習得したばかり。不安定なのが気掛かりだけど……)」
チラリと湊都さんの姿を探せば、彼は驚いた表情で僕を見ていた。
「湊都さ」
シャッ!
話しかける暇もなく、悪しきモノは僕等に襲い掛かる。
到底、女性とは思えないパワー。
壁を壊し、電球を割り、暴れて瘴気を振りまく。
「ようやく本領発揮してきたな」
「さっきの御香の効果ですかっ?」
避けながら呪符を飛ばし、光陰の矢に変えて攻撃していった。
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