*第一話*桜花を鎮静せよ!

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地面から数十センチのところで僕の体は浮いていた。 「あっぶねぇ……」 窓から身を乗り出していた湊都さんが安堵の表情を見せる。 そして、窓を蹴り僕の隣に降り立った。 片膝を付き、僕の様子をうかがう。 「大丈夫、じゃなさそうだな」 「っ、すみません……」 僕は上体を起こし、湊都さんを見る。 自分自身が情けなくて、自己嫌悪に陥った。 しかし、そんな感傷に浸る時間はないと身を持って知らされる。 割れた窓ガラスから悪しき物が飛び出し、校庭を走った。 一直線に、迷いもなく。 「しまった!桜だ!!」 視聴覚室から見える風景には桜があった。 そして今は夕刻。 話し始めてからかなりの時間が経過している。 もう日は落ち、薄暗さが増していた。
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